あずき 2009-09-03
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宮崎駿さんの1979〜1996年までの文章をまとめた前著「出発点」を引き継ぎ
1997〜2008年までの文章、対談、詩編、企画書をまとめた500頁を越える一冊です。
対談相手はロジャー・イーバート氏を始めニック・パーク氏、梅原孟氏、網野善彦氏、
中村良夫氏、養老孟司氏、山折哲雄氏、筑紫哲也氏などです。
宮崎さんは、山中貞雄や内田吐夢作品がお好きのようですが
映画の見方一つとっても、軍事史、兵器史を含めた歴史の教養なくしては見落とす事が多い事や
消費者と観客との違いも納得できました。
そしてごく近年に語られたこれらの言葉たちに、宮崎作品に心奪われた過去の思いが甦りました。
みなが前向きに生きる必要なんてない。
誰もが不道徳不健康の極みで生き、死んで行く権利を持ってるはずだ。
特定の教義や教祖を一切信奉せず、しかし日本人として原初から続く宗教心は激しく持っている。
コンテンツ産業や文化交流とは無縁に作る。
名誉と錯覚と思い上がりで自分達の自由を失う訳にはいかない。
破れ続ける傷口を憐れむのではなく、その傷に痛みを感じなくなる事への眼差し。
虐殺されたモーツァルトはいずれ場末の腐った音楽を愛するようになると
サン・テグジュペリは書いた。
自分がすでに穴の空いたそれではないかという懸念は益々強くなるばかりだ。
白蟻の一匹である自分は、虐殺された何者かを抱え
またモーツァルトを虐殺し続けているに違いない。
それでも白蟻は白蟻の言葉で世界の美しさを書くしか無いのだ。
人一倍凶暴で憎悪や憤怒を抱えていると吐露する宮崎さんが、不安と恐怖に満ちていたと云う
幼少の頃からそれらと格闘し、他人を楽しませる事で自身の存在を許されようとした結果
「健全で優しい作品を作る宮崎駿」というイメージが世間に形成されたのかも知れません。
宮崎駿さん及び宮崎作品の理解を深める言葉が収録されている著書だと思います。