ミーミルの泉 2010-02-06
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『西の魔女が死んだ』です。表題作と、「渡りの一日」という、後日談を描いた短編を収録しています。
「魔女」というワードがタイトルに出てきますが、ファンタジーではありません。中学一年生の女の子を主人公とした現実の物語です。「死んだ」については……死にネタが苦手という人は避けた方が良いかもしれません。
人気有名作品で、確かにイイ話ですが、それだけだったというか、私には合わなかったというか、あまり良いとは思えませんでした。
中学生の主人公まいが学校で心に傷を負って、西の魔女たるおばあちゃんの家に行き、そこで「魔女修行」なるリハビリをします。
ところがその主人公が心に傷を負った、という部分が描かれずにさらっと流されてしまっているため、主人公に感情移入できず、そうなってくるとおばあちゃんとの田舎での日常生活シーンが退屈でした。まいが学校に行かなくなった理由は後で語られますが、わざわざ引っ張って後出しするほどのものではなかったです。
植物の名前などを多用した自然描写は良かったし、この作品の特徴を現出していると思うのですが……。
自分の好きなきれいなものだけを見て汚いものや嫌なものには過敏に反応したり泣いたりするまいは、繊細というよりもむしろ神経質すぎて、わがままで自分勝手に見えました。
おばあちゃんとのふれあいは延々と描かれてはいますが、成長する要素が実感できず、最後に嫌いな物を除けないことで示される成長の証に、納得しがたかったです。そもそも母親の問題は、結局解決されないままでしたし。
途中経過に感情移入できていなければ、ラストの西の魔女が死んだシーンも特に感動できないと思います。
文章的にいってもところどころ、視点が急に飛ぶ部分もあり、ちょっとですが気になりました。
いずれにせよ、冒頭で感情移入できなかったのが決定打でした。私は本作品を楽しめず残念でした。
本編はどうもイマイチだったのですが、併録作が良かったです。
無駄な肩の力が抜けた軽いコメディータッチです。
その中で、本編などよりもずっとしっかりと、成長したまいの姿を描いていました。
魔女修行の成果も出ていて、全てが上手く行くという「魔法」も良かったです。
本編の評価は★2ですが、併録作に救われているので★3とします。
……まあこういう読者もたまにはいる、ということです。テレビのオリンピック中継を観てマスコミの連呼する「感動!感動!」につられて本当に感動できる素直な心根の持ち主ならば、本作を読んで感動できると思います。