紫陽花 2007-04-08
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ドストエフスキーの代表作の一つ。主人公ムイシュキン公爵は全くの無垢な人物。彼が周囲の人間の思惑によって精神的に冒され、一度は復活するが、最後には結局この世から逃避せざるを得ない姿を通じて、人間世界の様々な醜さ、欲望、自己保身などを描いたもの。ムイシュキン公爵はそれらを映し出す鏡なのである。
このムイシュキン公爵の人物造型をより積極的にしたものが、「カラーマーゾフの兄弟」のアリョーシャである。無垢なだけの性格から、無垢ではあるがその純真さで周囲を包み込む優しさを兼ね備えた者への成長。そして、ドストエフスキーがもっと長生きをしていれば、「カラマーゾフの兄弟」を第1部とする超大河小説の中で、アリョーシャは"神"になるという構想だったのである。ドストエフスキーが"神"の創造の第一歩として、「白痴」のように見える純粋無垢な青年を創造したという事は、彼の思想を知る上で大変興味深い。
人々の心を映し出す鏡のような無垢な青年を創造し、それを通じて人間の欲望、醜さ、身勝手さを映し出し、"神"の創造への第一歩とした記念碑的名作。