ビン・ラーディン 2005-12-23
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乱歩作品の中で乱歩独特のねちっこさが少ない薄味の作品を集めた編集になっている。良く言えば「理知的な推理中心の」、悪く言えば「乱歩らしさの少ない」作品群である。
「化人幻戯」・・・乱歩戦後の代表的長編で、確かに「蜘蛛男」等のチャンバラエログロ活劇長編に比べ、プロットもしっかりしており、いかにも「推理」小説であるが、犯人は簡単にわかるし、トリックも「機械的」なものでそれ程の意外性は無い。本作最大の読みどころは主人公が恋に落ちる相手の女性の魅力的な描写であろう。これは名人芸である。
「堀越捜査一課長殿」・・・手紙による告白形式の「推理」小説。トリックは凡庸なものだが、当時の時代背景が少し興味深い。
「防空壕」・・・一種の幻想小説かな。戦争中の空襲の審美的描写が不謹慎さを伴いながらも秀逸。ラストのオチも利いている名品。
「断崖」・・・一組の男女の対話のみからなる実験的な作。思いついたトリックをお手軽に短編に仕立てたって感じだな。でも名作「お勢登場」の続編と捉えれば面白いかも。
「兇器」・・・明智小五郎の探偵教室って感じ。トリックは名探偵コナンでも使えそうな単純なもの。(既に使用されたかも?)
「灰神楽」・・・少年時代に春陽文庫版で読んで再読だったが、個人的には本作品集の中では一番のお気に入りである。倒叙ものだが、乱歩独特の迫真的筆致で犯人の焦燥感が良く描けている。小品ながら名作だと思う。因みに私は「灰神楽」という単語をこの作品で覚えました。