trilobite 2009-05-26
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物理法則を知り考え工夫をして何かを作ることは,楽しい.そして,そう電源スイッチを入れた瞬間,意図したプログラム通りにLEDがちかちかしたその1瞬のあの感覚は,この世でも最上の悦びだろう.たとえ,電源スイッチを入れた瞬間に,白いベークライトの焼ける煙が吹き出てきたとしても,だ.
これは子供が10歳になったら,夏休みをまるまる使って,一緒になって考え,作り,動かしてみたい,強烈にそう思いました.名著です.その理由を1つ2つ書いてみます.
1. 考え,作り,動かす,の3点が初心者の視点から丁寧に書かれている
CPUの基本構成やチューリングマシーンの概念自体は理解できるでしょう.そして論理回路は論理どおりに動きます.ですが,作るとなると,知らねばならぬことがたくさんあるのです.半田付けはどうするの,部品はどうするの,電源ってなに? などなど.子供でも読める電気工作のよい雑誌が絶滅した今,そんな"当たり前"をポイントを押さえて1つ1つ階段を上るように述べています.
2. "作る悦び"が書かれています
"作る悦び",こればかりは,やったことのある人しか分かりません.げじげじ足(DIP パッケージ)を基板に入れて,フラックスの煙にむせびながら半田づけをして,配線チェックをしたら電源配線を忘れいたり逆接続していたりして焦り,(おじさんは,火入れといいますけど)電源スイッチを入れる前の,儀式的ですらある雰囲気とどきどき感.それが,本で書かれているのですから,こりゃまいったね,です.
実際にCPUを仕事で設計するとですね,ハードウェアだと,パイプラインは5段それとも3段から始まり,キャッシュは4wayなセットアソシエイティブでDMACは8バーストだからね,とか.ソフトウェアだと,アセンブラ作って,えーコンパイラも欲しいよ,JTAGデバッグするからGnuのgdbにつながるモニタを入れてよ,予算? 前回のあれに手を入れれば安くなんない?
なんてのが,日常会話だったりします.本書は,あたらためて,心臓がばくばくするくらいのあの興奮,技術者そして工学者としての楽しさを,感じさせてくれました.
こんな文章とイラストが書ける,著者の才能と能力と実行力に,嫉妬すら感じます ^^;