レビヲ 2009-02-21
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私が考える、何かを覚えるために入門書を選ぶ時に一番大切なことは「挫折」しにくい内容かどうか、です。各々どんな本が自分に合っているかは違うとは思いますが、本書は私の習得の過程でかゆい所に手が届く内容でとても役に立ちました。
1.私が入門書に求めるのは、その言語のイメージだけがモヤモヤとあって何一つ手を付けてない状態、そこから一つ目の比較的長めのソースを動かしてみるまでをガイドしてくれるものです。ただ、環境に左右され内容と食い違いやすいインストールなどの準備編は、参考程度に読んで後はネットで調べることにしています。本書はどのような作業が必要かがコンパクトにまとまって必要十分です。私はここにページをとられたくないです。
2.細かなサンプルを試しながら「用語」、「文法」、言語特有の「流儀」を理解することが出来ます。この段階で内容が不親切だと、ソース中の解らない記述をそのままにして読み進めることになります。本書はサンプルを丁寧に読み進めて、初心者が迷いやすいポイントを解説しています。この「解らない点」を残さないことと、サンプルを動かしてゆく細かな達成感が初心者が「挫折」しないために必要ですが本書はとてもよく書かれていると感じました。特に他の本ではあまり見られない「ここでエラーが出る場合は」という記述は初心者にはとても参考になります。
3.サンプルが徐々に実用的なものになっていきます。PHPですから関数やクラスの理解、SmartyやPEARの扱い、MySQLとの連携とその世界を広げながらも本書は性急な理解を求めません。これらを利用しながら丁寧にサンプルソースを読み進めています。初心者には、急に長めのソースを突きつけられると「目がすべって」内容が頭に入ってこない、というような状態があります。1行1行が読めるようになる、ところが初心者の最大の壁です。本書は、徹底してPHPのソースに「徐々に目を慣らす」ことにページをさいています。中盤以降の見開きでソースと解説を見比べられる構成も良いと思います。
4.終盤に扱うサンプルは十分「WEBアプリケーション」と呼べるものです。PHPの「用語」「文法」「流儀」を身につけ、ソースを1行1行読み下せるようになった初心者の次の段階はサンプルなどを「改造」「改良」など自分流にカスタマイズしながら自分の「PHPで出来ることを増やす」ことだと思います。本書のサンプルはそのベースとしてシンプルで応用範囲の広いものです。本書の内容は、ここまでの「ガイド」です。
5.本書の不十分な点を言っても仕方がないでしょう。問題は、初心者の「モヤモヤ」に風穴を空けることです。自分で長めのソースを読み下した最初の達成感を得られないままの状態を初心者が抜け出すには、本書はとてもよいバランスで書かれていると思います。
6.入門書を選ぶ時私自身「この本がどのレベルを対象に書かれているか」をはかるために、「はじめに」というページを必ず読みます。作者と最後までうまく付き合ってゆけるか、ということが文体や内容で扱う言語とこの作者が普段どのようなかかわり方をしているかなど、この1,2項から得られる情報は以外に多くあります。本書の「はじめに」を読んでみてください。初心者は「あ、これは私向けに書いてある」と感じるはずです。いくつかの本で挫折を経験した方もPHPを覚えたい、と思った初期衝動を再び感じさせてくれます。
7.こんな方には本書をおすすめしません。
・仕事で、すぐ実践的なWEBアプリケーションが作れるようにならなければいけない
・PHPとMYSQLについて深く知りたい
・PHP他のインストール、環境準備について詳しい解説が欲しい
・わからない関数をすぐ調べたい
環境準備はすんで、いくつかの本で挫折した初心者がモヤモヤを脱出してソースを目で追うことが出来るようになるまでのガイド、としておすすめします。