Norio001 2010-02-20
0 人中 0人 の方がこのレビューが参考になったと投票しています。
Roger Ebertが高く評価していたこともあり、悪評を重々承知したうえで、鑑賞してみたのだが、正直なところ、これは完全な失敗作だと思う。
ハリー・ポッター・シリーズのヒットを受けて、同じファンタジー作品で一儲けを狙ったのだろうが、比較することができないほどにお粗末な内容の作品である。
もっとも深刻な問題は、作品が現実世界と非常に異なる世界で展開するものであるにも関らず、聴衆をそこに導いていくための工夫が全くなされていないということである。
そのために、聴衆は、冒頭から置去りにされたまま、目のまえに映しだされる奇妙な異世界を所在無く見詰めることができるだけなのである。
そこに展開される物語にまず聴衆を感情的に参加させるということは、どのような物語においても、制作者が果たさなければならない必須の責任であると思うのだが、この作品においては、正にその必須条件が欠如しているのである。
ただ、物語の内容に目をむけると、そこには、それなりに興味深いアイデアが散りばめられているのも事実である。
人間が成長していくとは、どういうことなのか?
そこで、われわれは何を失うことになるのか?
そして、われわれが失ってはいけないものがあるとすれば、それは何なのか?
こうした普遍的な主題について、独自の洞察と主張をもつ作品であることは確かである。
しかし、残念なことは、こうした主題を探求するうえで、物語の視点があまりにも短絡的な「反権威主義」な発想に絡めとられていることで、折角、興味深い問題をとりあげていながら、そこには、これまでに無数の三流作家がくりかえしてきた「回顧主義的ロマン主義」(こどもの純粋さを過度に美化する発想)が何の創意工夫もなく、開陳されているに過ぎないのである。
これでは、聴衆の共感を得ることができないのも当然のことであろう。
今、脚光をあびているAlexandre Desplatの音楽も凡庸なもので、正直なところ、評価するべきところを見出すのがむずかしい作品である。